- 特別加入制度の労災保険とはなんですか?
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会社に雇用されている会社員の方などは、労災保険は強制加入で、会社が100%支払ってくれている社会保険制度です。ただし、フリーランスや一人親方、個人事業主、会社役員(報酬制)などは、労働基準法上の「労働者ではない」ため、労災保険には加入できませんでした。しかしながら実態としては、労働を元に報酬を得て生活をしています。ですから、特別にこの労災保険へ加入できるようにした制度なので、労災保険の前に「特別加入制度」とい名前が付いています。
- 労災保険ってなに?
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労災保険とは、労働者を業務災害発生から起こる様々な経済的貧窮から、政府行政機関が補償してくれる制度です。労働者が業務災害に遭い治療を受ける、また働けなくなった時など、様々な補償給付を政府行政機関から受け取りことができる制度です。
- 社会保険って健康保険のことじゃなかったの?
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社会保険とは、全部で5種類の保険制度が合わさっている保険制度です。5種類とは「健康保険・年金保険・介護保険・雇用保険・労災保険」です。ほとんどの方が「健康保険」のことを「社会保険」と言っているのは、本来は間違いですが、一般的に使われています。また、労働者災害補償保険のことを「労災保険」と思われている方も多いのですが、労働保険(労働者災害補償保険)は「雇用保険・労災保険」の二つを合わせて労働保険と言います。フリーランスや一人親方などは、雇用されていないため、雇用保険へは加入できず、労災保険は特別加入制度の労災保険へ加入することが可能です。
- 社会保険料が高すぎるから加入したくない!
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はい。お気持ちは大変理解できます。社会保険とは「健康保険・年金保険・介護保険・雇用保険・労災保険」の5つの補償が受けられる政府管掌の保険制度です。保険と言う性質上相互扶助に則り運営されているため、現在言われている「少子化傾向」により、負担割合が多くなってきているように感じます。社会保険料は、年齢に比例するのではなく、年間の個人所得(個人収入ではない)で計算されていますので、年齢に関係なく同じ料率で負担となります。また、社会保険制度がなくなると社会保険料は一切徴収されませんが、病院にかかる30%の負担が100%の負担になります。また業務災害時の病院負担は0%なのも100%負担となるなど、社会保険における恩恵は一切受けられなくなります。海外ではこの社会保険制度が整備されていない国も多く、おいそれと病院にかかることができないということも多々起きています。社会保険負担を無くし、自己責任で負担するのが良いのか、それとも社会保険制度で政府行政機関にある程度負担してもらった方が良いのかということは、これから皆さんで考えていくことなのでしょう。
- 万が一が起こったときに加入を考えてはだめなの?
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「払わずして得を得たい」というのは人間の性ですよね。否定できません。ただし、人間の性である以上、強制的にしなければ「払わないで得をする方」が出てきてしまいます。つまり、「払っている方が損をする」ということです。誰もが「自分には起きないだろう」という、認知バイアス(経験に基ずく思い込みの心理現象のこと)を持ってしままうのは当然のことです。保険制度は、相互扶助(お互いがお互いを助け合う)の精神で成り立っていますので、自分が払った分を必ず取り戻す、ということではありません。反対に、自分に何かが起きた場合は皆さんに助けてもらっているということになります。保険制度というのは損得で考えると、自分にとっては払った以上のものが戻ってくることが無いかもしれません。金銭のことだけではなく、万が一が起きない方が良い、もしくは誰かのためにという扶助の考え方なければ成り立たない制度なのかもしれません。
- 労災保険の補償にはどんなものがあるのか教えてください。
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労災保険の補償内容は、仕事を起因とした業務災害または通勤(自宅から仕事場や事務所)による負傷、疾病、障害、死亡に対して、労働者本人やその家族のために必要な保険給付を行うものです。主な補償内容は多岐に渡ります。療養(補償)給付・休業(補償)給付・障害(補償)給付・遺族(補償)給付・葬祭料(葬祭)給付・傷病(補償)年金給付・介護(補償)給付・二次健康診断等給付などです。詳しくは、厚生労働省のサイトもしくは、みんなの労災保険組合のブログ記事をご覧ください。
- フリーランスと一人親方と個人事業主って何が違うの?
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フリーランスの語源は中世ヨーロッパの戦士の象徴である「槍」と、特定の主君に仕えることなく報酬によって「自由」に戦いに参加していた傭兵のことで、「free(自由な)」と「lance(槍)」という2つの言葉が組み合わさった「freelance」という英語です。現代では、特定の企業や組織に仕えることなく、自分の能力で仕事を受注し、働く方たちを指します。一人親方には諸説ありますが、一例をあげれば、職人の世界(建設業にかかわらず)では、古来親方と弟子という徒弟制度があり、親方が弟子に技術の継承を行い、また仕事を割り振っていました。しかし、一人親方は弟子も抱えず自らの知識と経験と技術のみで請負い仕事をしていました。また、親方になる一歩手前の呼び名ともいわれています。
実は、フリーランスと一人親方には正式な区別がありません。個人事業主と同じく、だれも雇わずに一人で請負い、自らの力で仕事をしていく方のことを言い表します。 - 従業員とは、正社員とは、雇うとは?
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従業員とは、企業や組織に雇われて働く方を指し、その雇用形態は問われません。正社員やパートやアルバイトの方もすべて「従業員」です。正社員は、企業や組織などと「期間の定めがない雇用契約」を結んでいる従業員のことです。期間の定めがない雇用契約のため、パートやアルバイト、契約社員と比べ、安定した雇用が期待できます。雇うとは、企業や組織が労働者と雇用契約を結び、「労働力を提供してもらう側」が使い、雇用契約に「労働時間・対価の賃金・仕事内容」が記載されています。正社員も従業員であり、パートやアルバイトも従業員ということになります。ですから、正社員を雇う、従業員を雇う、は意味合いが違ってきます。
- 労災保険はどこでも同じですか?
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政府行政機関が保険者である以上、補償内容はすべて同じです。しかしながら、フリーランスの方との直接のやり取りや事務受付は、承認をいただいた「特別加入承認団体」が執り行います。ですから、その承認団体の運営方法や業務遂行方法においては、企業や組織と同じく団体に任されており、いうなれば運営がうまく回せなけらば解散(倒産と同等)だってあり得ます。ただし民間の保険と違い、保険自体は100%守られます。補償内容は同じでも料金が違うのはそのためです。
- 民間の保険と何が違うのか?
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民間の保険は、民間の企業が「保険者」であり、商品を一般消費者へ販売し利益を得ます。企業によって、保険商品は様々あると同時に、補償内容も販売している企業によって違います。保険の給付においては販売している保険会社が行います。一方、労災保険は政府行政機関が「保険者」であり、補償内容は一律決まっています。事務受付窓口は「特別承認団体」が執り行い、補償給付をするのは政府行政機関となります。民間の保険を「民営保険」といい、政府行政機関の保険を「公営保険」と言い表します。
- 労災保険への加入は強制ですか?
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いいえ違います。フリーランスの方の労災保険は「任意加入」ですから、強制ではありません。
- 労災保険が任意であれば、加入しなくても良いですか?
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フリーランスは特定の企業や組織に属するわけではなく「自由」ですから、任意加入制度である以上、加入も自分の判断で自由です。しかしながら、昨今では「労働安全衛生法」や「安全配慮義務」、「フリーランス法」や「請負法」など、省令改正や法律制定が続き、フリーランスへ仕事を依頼する側にも、その労働に対する責任が生じるようになりました。労災保険へ加入していないフリーランスへ仕事を発注し、万が一業務災害が発生すると個別によりケースは様々ですが、依頼主側に対して、法的責任と経済的支援が発生する場合があります。依頼主側と依頼されるフリーランス側とお互いが労災保険に加入しているかをチェックし、安全配慮義務を遂行し、業務災害の発生を未然に防ぐことが重要です。
- 労災保険へ加入する方法を教えてください。
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フリーランスのための労災保険へ加入するためには「特別加入承認団体」を通して受付します。労働基準監督署や、労働局へ行っても加入受付はできません。また、加入受付方法は団体によって様々です。ここでは、当団体の、みんなの労災保険組合からの「加入の流れ」をお伝えいたします。